色の見え方2012年08月16日 11:30:49

【色の見え方の違い】

同じ色でもそれを見る条件が異なると人の目には違って映ります。たとえばお店で見た服の色が、家に帰って見ると違う色に見えたり、黄色いお皿の上に置いたリンゴと緑のお皿の上に置いたリンゴとでは、同じ赤でも違った印象になります。
この他、昼と夜で同じ風景を見ても色は異なったり、カラーチップで見たサンプルをもっと大きな紙で見ると違った印象になる場合があります。


【色の見え方を決める要素】

色の見え方に関わる要素はおおむね次の4つがあります。

・光源
太陽光、蛍光灯、白熱電灯など、光源の種類によって見える色は異なりますし、太陽光でも時間帯によって色みは違ってきます。



同じ色であっても光源が異なると人の目で感じる色は違うものとなります

・背景
観測する色は周辺にどんな色を置くかで見え方は異なります。彩度の高い背景や極端に明るいものの前に置いたものは、くすんで見えたり暗めに見えたりします。背景が暗すぎるのも同様で、このような環境は好ましくありません。

・面積
面積は背景色とも密接に関係するので、一概には言えませんが、おおまかに大きい面積のものは小さい面積に比べて明るく彩度も高く見えます。

・観察者
全ての色は見る人がいてはじめて認識されます。色を見る人の年齢や性別、また個人の特性によっても色の見え方は異なっくる場合があります。


【カラーマネジメントで必要なこと】

このようにさまざまな要素で色の見え方は違うため、カラーマネジメントではできるだけ不確定な要素を減らしておくことが大切です。なかでも観測光源は一定にすることが望まれます。外光の入る環境は時間や天候に左右されて一定の光源を維持することができません。そこで作業環境はできるだけ窓からの光の影響を受けない場所にして、可能であれば遮光カーテンなどで外光を遮断することをおすすめします。こうすると部屋の光源という安定した環境だけでディスプレイやプリントアウトを見ることができます。



作業環境はできるだけ外光の影響を受けない一定の光源に設置することが望ましいです

このときの光源はどのようなものでも良いというわけではなく、一定の色温度で見る必要があります。色温度とは白の色みを決める要素で、光源の白さの度合いを絶対温度(K)という単位で表したものです。蝋燭の炎がおよそ2000K、朝日や夕日が2000〜3000K、日中の太陽光が5000〜6500Kとされています。印刷物を見るときの照明は日本印刷学会の「印刷・製版の色評価用標準照明規格」で5000Kとされいますので、可能な限りこの色温度に近い照明を使うことをおすすめします。市販の蛍光灯でもパッケージに色温度が記載されている商品があるので、これらを選択の目安にするといいでしょう。


色温度は朝日や夕日が2000〜3000K、日中の太陽光が5000〜6500K、快晴の青空が10000Kとされています




市販されている蛍光灯は色温度の表示があるものも多いので、できるだけ目標とする環境光に近いものと選ぶといいでしょう

より厳密な環境を求めるのであれば、色温度に加えて演色指数の高い光源を使用します。太陽光と蛍光灯では光の成分に違いがあり、蛍光灯は必ずしも太陽光の持つ成分の全てを再現できているわけではありません。蛍光灯には、どれだけ太陽光に近い見え方をするかが演色指数という値で表記されています。これは太陽光を100として相対的に表したもので、「Ra99」のように記載されています。ただし、通常の家庭で使用する丸管型ではRa84前後までの製品しかなく、Ra90以上のものはデスクライトのような直管型に限られています。

そこで、部屋の照明は正しい色温度で可能な限り演色指数の高いものを使い、ディスプレイの脇にデスクスタンドを置き、高演色性の光源でプリントアウトを見るようにするといいでしょう。なお、部屋の壁は白または明るめのグレーなど無彩色であることが好ましいです。また、ディスプレイだけで作業をする場合でも、基本的に同じ条件で見ることが必要です。ディスプレイはそれ自体が発光をする光源のようなものと考えることができますが、色の見え方はあくまで相対的なものなので、周囲が暗ければディスプレイは明るく鮮やかに見え、周囲が明るければディスプレイは暗く見える傾向にあります。ディスプレイを見る場合でも、プリントアウトを見る場合でも、作業環境は常に一定の光源になっていることが必要です。



部屋の光源と併せて高演色性の蛍光灯をデスクスタンドに設置して使用することで、より理想的な条件で表示を確認できるようになります

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