ディスプレイの調整2012年10月05日 11:34:36

【ディスプレイの表示】

印刷物は反射光によって色を見るものなので、環境光によってその見え方は変わってきます。そのため標準化された色温度の環境で見ることが必要になってきますが、ディスプレイの表示も環境光に合わせることで印刷物と比較した時に同じ色味で見ることができるようになります。
ディスプレイは印刷物と違い自らが光を発して色を表示するため、本来であれば環境光に依存して色が変わるということはありませんが、人の目は見たい色とその周辺の色の組み合わせで印象が異なるため、環境光の色温度や輝度と、ディスプレイの色温度や輝度が揃っていないと、正しい色で見ることができなくなります。


【ディスプレイの調整項目】

ディスプレイの表示を調整するのは次の2つが重要となります。

・色温度
印刷物を見る環境の色温度と同じになるように、ディスプレイの色温度を揃えておきます。紙と比較してディスプレイの青みが強く見える場合は色温度を低めに設定し、紙と比較して黄色が強く見える場合はディスプレイの色温度を高めに設定します。


紙の白さとディスプレイの白さが同じに見える状態が、ディスプレイの理想的な色温度です

・輝度
輝度はディスプレイの明るさで、これも環境の明るさと揃えておく必要があります。紙と比べてディスプレイが明るく見える場合には輝度を下げ、紙よりもディスプレイが暗く見える場合は輝度を上げるようにします。最適な輝度は環境によって異なります。


紙の見え方と比べてディスプレイが明る過ぎたり暗過ぎたりしないように調整します

【ディスプレイの調整機能を使用する】

一体型やノート型のコンピュータではディスプレイの明るさを調整する機能だけが搭載されていて、色温度の設定はできないものがほとんどですが、単独で発売されているディスプレイにはOn Screen Display(OSD)と呼ばれる調整機能が搭載されています。これはディスプレイの色温度をあらかじめ用意されたプリセットから選択したり、RGBの調整を行って自由に設定することが可能であったり、輝度を細かく設定することができるものです。



色温度はディスプレイにあらかじめ登録された設定から選択したり、RGBの信号を個別に調整して変更することができます


輝度は0〜100%で調整するものが多く、最大輝度と最低輝度はディスプレイの性能によって異なります

このようにディスプレイの色温度と輝度を環境と揃えていれば印刷物との表示は近しくなりますが、これはまだカラーマネジメントされた状態ではありません。コンピュータが画面やプリントアウトで表示する色には、色域という色の範囲を定義した情報が必要で、これは画像ファイルのようなデータにもディスプレイやプリンタといったハードウェアにもあてはまります。この色域という情報はICCプロファイルというものに書き込まれていて、画像ファイルであればAdobe RGBやsRGB、Japan Color 2001 Coatedなどがあります。同じようにディスプレイにもそのディスプレイが表示可能な色域と色温度、輝度などの情報が書き込まれたものが用意されます。
カラーマネジメントを行うということは、このようなプロファイルを作成し正しく運用すること指します。